河出書房新社 御中  (20180201送信UP)

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今野真二著『日本の文字』2017についての感想です。

長すぎて感想文のフォームに入りませんでした。
こちらに送信させてください。



大変楽しく読ませていただきました。
私の手元には印刷物のきれいな資料が少なかったので、
こんなにいろいろあると、手元で確認できて大変うれしかったです。

大学でいきなり農村の手書き古文書解読に接し、
当惑至極の体験をした者です。

高校までの教育では、史料集といえども、
「活字の漢字ひらがな混じりの読み下し文」です。

その説明展開は、漢字から平仮名が出来て、
平安時代には「かな」の女流文学が盛んになり、
武士の時代になると漢字仮名混じり文の文学になり、
明治時代の言文一致運動で、現代文になってきた、
というようなものだったと思います。

この説明では、江戸時代の農村で書かれていた、
きつい漢文調の候文が、全く出てきません。

昔、私の僻地の郷里にも「町史」ができました。
そこに地元古文書が活字になったものが記載されていました。
それは正に、きつい漢文調の候文でした。

しかし私は、それは記載された郷里の文書という狭い範囲の、
特別な書き方であると、しっかり誤解し、
大学で江戸期古文書に接して仰天した、
という成り行きだったのです。

つまり江戸時代は、普通は漢字仮名混じりの読み下し候文で、
それが筆文字くずし字になっているものが、
使われていた、と思っていたわけです。

なぜこのような誤解が起きるような説明がされているのか、
と、ずっと考えていました。

これは今も大問題だと思っています。
江戸期古文書のきつい漢文調候文について、
一般の人の常識程度には、するべきだと。

そして、せめて「変体仮名」だけでも、解読の手引きになるものを、
と思って、自分のホームページに、一文をUPしました。
「千年文字『かな』入門」
http://tikyuudaigaku.web.fc2.com/170407sennnennmojikana.html

この本にも、そのような説明まではありませんが、
私の説明も、ある程度当たっていると言えるのではないか、
と安心することができました。

それから気になったことがあります。
p78「神代文字は存在したか」ですが、
古墳時代の350年間に、全国で「約5千基の前方後円墳」
が作られたことを、先生はご存知でしょうか。

列島で初の、大規模に展開された共通様式運動、だと私は思っています。
これには、何らかの情報伝達があった、と考えるのが自然だと思うのです。

これまで言われてきた神代文字は怪しいにしても、
この考古学上の事実を説明する情報伝達を、
何によって説明するべきか、と私は思っています。

ひょっとしたら「カタカナ」?それとも全く別の、楔形文字のようなもの?
インドの梵字のようなもの?文字に見えないものか?
といろいろ考えるのですが、先生はどうお思いでしょうか。


久武喜久代  62歳 神奈川在  suisyou2006@nifty.com


あまりいい文ではないが、そのまま。



Wikiの「候文」の説明は、今も、私の文を元にしたもののようだ。
「元の私の文」
http://book.geocities.jp/teikinnourai/souroubunn.html

これを書いた頃、まわりはパソコンオタクの理系集団だったみたいで、
激しい罵倒の嵐だった。

専門以外の人は、江戸時代以前の本物の手書きや版本なんか、
見たこともなければ興味も関心もなく、
私の書き込みは、「全面嘘」に見えたらしい。

私が受けた歴史教育も、僻地で専門教諭がいなかった程度のもので、
史料集も買わなかった。(進学校に行った兄の史料集はあった)

当時は誰も何もわかっていなかったし、
県の教育関係者も、知識を与えようという気もなかったように思う。

彼らの猛攻撃も、時間をかけてよくよく考えれば、
そういうものかしらん、と思えてくるが。

しかし江戸時代のこの巨大な文献の山のことを、
一般の人が知らないで済ますのは、どうもおかしいと思った。

高校までの教育に出てくる説明は、
公家と武家の対立を反映しているのではないかと思う。

公家は漢字を柔らかく崩した「かな」の存在を主張したい。

すると、実用的に日常を仕切った、
ほとんど漢文に見える実用通信文・記録の類は、
武家様式の類に片づけられて?、説明から消えているのではあるまいか。

しかしこんな偏った説明は、実際の社会の説明にはならない。

そして、歴史は常に、公家側(神道側?)からの、
削除改変の活動にさらされていると言える。

考古学資料だって、例外ではないと思うから心配するのだ。
(参:古墳時代と天皇家
http://tikyuudaigaku.web.fc2.com/tikyuu.kohunnjidai.html)

そろそろこのような域は脱して、
公正でバランスの取れた歴史にするべきだと思うのだが。

そういえば、この本には歴史学で常用する日用漢文調手書き古文書がない。
一言、書いておいてもいいのでは。
歴史学の古文書の本には、版本や文学で使われる文字との違いについて、一言書くべきでは。

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