文藝春秋 御中 (20180210送信UP)
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『昭和天皇独白録』は、1990年に貴紙にて公表されたものです。
現在、文庫化されています。
その原本『天皇独白録』について(文庫アマゾンレビューにも書きました)
秦郁彦『陰謀史観』新潮社2012(アマゾンレビューに書き込みあり)、p159に
秦氏言う所の、張作霖爆殺事件での「河本大作の犯行を示す八つの確証」というのがあ
ります。
そこに『昭和天皇独白録』が出てきて、「この事件の首謀者は河本大作大佐である」と
書いてある、ということを知りました。
『独白録』を見ると、それは本文2項目の、非常に目立つ所に書いてありました。
原本『天皇独白録』について
私は、「張作霖爆殺は河本大佐である」と、天皇が当時、田中総理から聞いた?
(天皇が昭和21年にそう言った?「。」「、」によって、どちらかちょっと判読しづら
い)、
というのを、不思議に思いました。
遠隔地の事件について、田中総理が当時そう言ったのなら、判断理由を言いそうですが
、
それはない。
そして理由も言わずに日本側の犯行だと断定することは、
「理由もなく」日本側の罪状を認めることです。
天皇のお立場で、昭和21年に、当時、田中総理がそのようなことを言った、とか、
「張作霖爆殺は河本大佐」とかおっしゃるのは、おかしい気がします。
高須クリニック院長が入手したというニュース関連で、
実物写真画像も見ることができましたが、
1900年生まれの、アメリカ生活の長い、英語が堪能な寺崎氏の直筆にしては、
ボナムス提供の写真版の文字は、「草書がこなれ過ぎ」に見えます。
伊藤隆というトップクラスの近現代資料解読者が、本物だと太鼓判を押しているのです
から、
これに難癖を付けるのは至難の技です。
しかし『独白録』文春文庫・後半の専門家たちの座談会を読んでも、
私が感じたような疑問を、誰も口にしないのを見て変だと感じました。
みんなでニセモノを本物だということにしよう、と口裏を合わせているのではあるまい
な、
と妙な気がしました。
座談会では、他の疑問点をいろいろ取り上げてもいるので、
詳しく調べれば、もっと奇妙な点が出てくるかもしれません。
『独白録』公開の経緯は以下のようだったそうです。
日本語がわからない寺崎氏の娘マリコ氏の手元では、寺崎日記だけだと思われていた。
それを読んでもらおうと思って、米国人の日本研究者に渡した。
そこから照会された伊藤隆氏が、日記とは別の独白録を第一級の資料と断定した。
このようなことをしている途中で、偽作が入り込む余地は、ないのだろうか、
と、思ったりもしました。
久武喜久代 62歳 神奈川在 suisyou2006@nifty.com