庭訓往来 6月状 往            (20180918)

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この間から忙しい事柄が重なりまして、
うちうちに親しくお話し合いもできず、全く残念至極のことでございます。

そもそも、世の中が静まり返っているので、
鵜で魚を取ったり、鷹で鳥を取ったりしたいと思っていたところ、

謀反・反逆の危険な輩が謀をめぐらし、
盗賊狼藉の悪党を引率して国々に蜂起させ、

山賊・海賊・強盗・窃盗の徒党があちこちに横行し、
人の財産を奪い取り、住民の住宅を乗っ取り、
旅人の衣装をはぎ取ることが起きています。

その誅伐・追討のために、大将軍が、方々の者たちに立ち向かわせ、
当家の一族も同じように、その戦場に馳せ向かって、城郭を破り、
たてこもっている賊徒を追伐し、要害を警護せよ、云々。

これによって、近日出発したいと思ったのですが、この間の戦場に、
武具・乗馬以下、大量に失ってしまいました。

雑兵・士卒の鎧、並びに乗り換え用の馬など、ご助成いただけるなら
そうしていただきたいのです。

この度の出立は、当家のほまれ、一門の肝心かなめです。
一門一族、粉骨の合戦をいたします。その旨、お約束いたします。

もし幸いに命ながらえることができたならば、再びお目にかかれた
その時に、お礼を申し上げます。

とりわけ将軍家の御教書については、手落ちなきよう厳しく目を行き届かせ、
「ほろ」や「御旗」を下したまわるからには、父方・母方につながる一族、
一致団結して命運をひとつにする次第です。

戦闘で功をたて、軍陣で忠節に励むことにより、
朝廷よりのおほめを頂戴できるなら(たとえわが身は討死しても)、
譜代相伝の分領や一所懸命の地は、間違いなく子孫に伝えられるでしょう。

命ながらえようなどとは思っていませんので、心に思うことを、
すべてそのままに書き記しました。お許しください。



日本人はこれを読んで、「ふんふん、武士はそんな感じだろう」と思うだろう。
しかし、中国や朝鮮では、「そうではなかった」、ということになっている。

検証してもらいたいものです。

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