IWJ コメント欄       (20190607送信)

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    *とりあえず、これだけにしておいた。


吉見氏発見の資料には、極めて重大な疑問があります。

吉見義明『従軍慰安婦』岩波新書1995、p5に、

  慰安婦関連文書は、
「八王子の地下倉庫」にあって焼却を免れ、アメリカに接収され、
 日本に返還されて、防衛庁防衛研究所で保存されていた。

という話が出てきます。私は後に述べる理由から、
この資料群の来歴を、とても気にしています。
贋作ではないかと。

そして岩波新書『従軍慰安婦』 1章より、出てくる資料を、
順番に並べて見ました。そして考えました。

p36の資料28は、「陸軍省」が陸軍部隊に、
教育参考資料として出した文です。

「略奪、強姦、放火、俘虜惨殺等、
皇軍としての本質に反する、数多くの犯行を生じた。 
そのような感情や劣情を抑えるには、性的慰安が効く」

と言っています。

「陸軍省」が陸軍の、そのような悪事を公文書に残すでしょうか。
しかも「その対策には性的慰安が有効だ」なんて、書くでしょうか。

日本社会の上層部は、歴史の前後を観察して、そのような悪事を、
公文書に残してきたでしょうか。

そして日本の若者は、歴史の前後を観察して、
そのような悪事をしてきたでしょうか。

上層部に、お前たちの悪事や劣情には性的慰安が効く、と言われて、
日本の若者は、その通りだ、と思う人達だったのでしょうか。

八王子の戦中戦後に詳しい人たちは、八王子地下倉庫資料

なんて話は知らないし、ましてや慰安婦関連など、
聞いたことがない、と言っています。

吉見著の資料は、外務省・内務省・陸軍省と広がります。

疎開させるほどだったのなら、「当時の人が見て」
もっと大事な資料があったはずです。

資料が発見されてから、28年が立ちます。
しかしその、「当時の人が見て」 大事だったはずの資料
は、全く研究されていないようです。

多くが焼却された中、もし残った資料があるなら、
それだけで貴重なはずです。

しかし同時に疎開させてあった、他にあるはずの大事な資料と共に、
ひとかたまりとして研究した、という話は、 聞きません。

普通なら、残存資料の全体を俯瞰して、
行政や軍部の活動全体の研究に、役立てないといけないのです。

研究者なら、この状況はおかしい、と、
思わなければならないはずなのです。

他にもハッキリとした贋作が出ている中では、
これらも贋作を疑う必要があると思います。

ひょっとしたら、八王子地下倉庫資料というのは、
慰安婦関連資料だけしかない。しかもそれは、
贋作だからではないか、と、私は疑っています。

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