マイメモ:謀略・スパイの世界 (20190713)
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社会の政治情報について、ある構図を仮定してみる。
一つは、主として上からの情報を受容している層。
横のつながりは、地域社会の問題として取り上げられた時にのみ、浮上する。
これは要するにごく普通の人々、一般人を指すだろう。
次は、政治情報について、何らかの判断基準でもって考える層。
最初の層を「受動層」、次の層を「能動層」、と名付けてみる。
南京事件や慰安婦問題等、歴史認識問題は、
主に「能動層」の中で議論が戦わされ、
「受動層」は、無関心、忌避、あるいは能動層の成り行きに盲目的に追従する、
こういうパターンだったのではないか、と考えてみる。
中薗英助『スパイの世界』岩波新書1992、p51に、
*****
KGBの重視する謀略に、「ニセ情報工作」というものがある。
意図的に挑発的な噂をひろめたり、ニセの情報を、
口頭や偽造文書などで流し込む特殊宣伝のことである。*****
*****p52
特殊宣伝、あるいは非合法宣伝の目的は、外国政府の政策に影響を与え、
他国間の関係を誤らせ、自国を攻撃する組織や個人の力を低下させ、
信用を落とさせるなど*****
p129*****
ニセ情報工作の工作員とは、
一国の世論を自国に有利に動かせるような有力者、
たとえば政治家やジャーナリスト、政治評論家、労組幹部、大学教授ら。*****
(この本の全体を読んでのピックアップではないので、ご注意)
上記は、ソ連の諜報機関であるKGBの話なのだが、今回の歴史認識問題では、
これがそっくり当てはまるように思うのだ。工作員が潜入する先が、主に「能動層」である。
これが、私たちが生きる世界である。
中国共産党は、その成立の頃から、ソ連と関係が深かった。
日中戦争の頃から、謀略面での中ソの共闘があったかどうかはわからないが、
内容的には、上記のように、その手法が公開になっている文書もあるらしい。
そして日本で、その手法がそっくりそのまま、歴史認識問題に適用されていた、
とするなら、現状を説明するのに、かなり役に立ちそうなのだ。
国際問題となっている事件について、詳細は知らなくても、
「このような道義に反する活動は、日常茶飯である。」
これを、一般常識にしておかなくてはならないのではあるまいか。
日本では、身分の上下を峻別する長い習慣があって、秩序を保つのに役に立っていた。
その習慣が、自分を社会的に守ることにつながっていて、
下は上に従う、という、了解の上に社会が維持されてきた。
しかし、「能動層」の中の、「道義に反する活発な活動」の存在を知れば、
「受動層」も、身を守るためには、盲目的な追従は危険である。
私は、「受動層」が「ニセ情報工作」を選別する手段として、
「歴史認識の基本」を理解することが必要だと思う。
「受動層」が「能動層」の活動の成り行きに、盲目的に追従していたら、
どこへ連れていかれるか、わかったものではない。
また、「能動層」に対して、資料の来歴、真贋判定のための資料の添付・公開
を義務付けるように、するべきだと思う。
吉見義明氏が関わった慰安婦勝訴裁判で、氏は、資料の鑑定書を提出したようだ。
真贋判定説明の本を隠しておいて、何をか いわんやである。
氏の鑑定書の中身を知りたい。ただ「本物です。間違いありません。」
としか書いていないものが、「鑑定書」として通ったのではないか
と、疑問に思っている。これは公開されない種類のものなのだろうか。
否定派もまた、論争点に、決して資料の「真贋」を使わない、ようだった。
資料が証言する「内容」の解釈をめぐる論争に終始したらしい。
なぜか。・・・右派に工作員がいるからではないかなあ。
「資料が本物でも、裁判に勝つ方法がある」と、「内容解釈」の論点を準備する。
右派に潜入した工作員が、そのように入れ知恵すれば、
そういう展開になる可能性も、あるではないか。
「能動層」で、真贋入り乱れた工作が盛んに行われている。
「受動層」は、勝負がついたと見える方に、盲目的について走る。
これが世界中で起きているとすれば、・・・次は何が起きるのだろう。