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2017/12/14「南京事件80年 笠原十九司氏に聞く」
(聞き手・田中佐知子)の記事について


笠原先生は、左派の研究方法に「根本的な欠陥」
があるのに、気が付いておられないのです。

「事実」というものは、
<<それを証明する「証拠」が本物>>でなければなりません。

しかし「証拠が本物かどうか」を検討した人がいません。

例えば笠原先生が多用しておられる偕行社『南京戦史資料集』
ですが、先生は、この本を活字でお読みになったようです。

しかし、手書き実物の真贋の検討をなさったようすはありません。

笠原先生は、そのことに、何の疑問も持っておられない。
そこが「根本的な欠陥」です。

本来なら、以下の検討項目を示して「証拠は本物である」
と説明する必要があるのです。

(1)紙質は当時の物か。
筆記具として使ったものは、当時の状況に照らして妥当か。
文字や言葉の使い方は、当時の状況に照らして妥当か。
書風や筆意は、当時の状況と文書の目的に照らして妥当か。
印章は真正のものか。

   *比較する物が公文書なら、
    既に真正と判明している公文書との、
    詳細な比較検討が必要です。

(2)その史料の内容は、他の正しい史料と矛盾しないか。

(3)その史料の形式や内容が、
それに関係することに、発展的に連絡し、その性質に適合し、
蓋然性を持つか。

(4)その史料自体に、作為の痕跡が何もないか。
それを検討する方法として、以下に列挙する。

  a) 満足できる説明がないまま遅れて世に出た、というように、
   その史料の発見等に、奇妙で不審な点はないか (来歴の検討)

  b)その作者が見るはずのない、またはその当時存在しなかった、
   他の史料の模倣や利用が証明されるようなことがないか。

 c)古めかしく見せる細工からきた、
    その時代の様式に合わない、時代錯誤はないか。

 d) その史料そのものの性質や目的にはない種類の、
    偽作の動機から来たと見られる傾向はないか。

上記の「証拠が本物かどうか」を検討する方法は、
1935(昭和10)年の今井登志喜『歴史学研究法』
に書いてあったものです。

私は今井著『歴史学研究法』(東大出版)の全文をサイトUPしました。
またその要約は、以下のページにあります。
http://tikyuudaigaku.web.fc2.com/tikyuu.siryouhihann.html

私は、慰安婦問題弁護士・渡辺春己氏と、
慰安婦問題トップ研究者・吉見義明氏の二人が、

ある対談本の中で、この今井著を取り上げながら、
  <「真贋検討法」と「虚偽の例」を「隠蔽」した>
のを見つけました。

*『歴史の事実をどう認定しどう教えるか』 教育資料出版社1997・p190

今井著では詳細に順序良く出てくる「真贋検討法」を、
上記対談本の主たる参加者である渡辺氏は、
ほぼ完全に隠蔽しています。

証言の検討もしかり。渡辺弁護士は、元慰安婦のデタラメ発言を、
「錯誤」だけで説明し、「虚偽」をカットします。

しかしこれも、今井著の、
「錯誤」と「虚偽」が続けて出てくる書き方からすると、
非常に不自然な「不審行為」です。

南京事件について言うならば、証言をする人々について、
    「中国という国が、真実を証言できる国かどうか」、
  を考える必要があります。

人は、利害がからんだり、公然あるいは暗黙の強制に屈服すると、
嘘をつく可能性があります。(参:今井著・虚偽の例1・4)

証言者たちの背後に、長く続く中国の政治環境があることを、
忘れてはなりません。

中国は簡単に人を殺し、罪をねつ造する、人権無視の国です。

池上彰『そうだったのか!中国』によれば、  
 中国共産党は、1950年の建国時に、70万人もの人を公開で処刑。

    *(明治以降の日本では、権力者が、非武装の同国人を、
      人前で処刑したりしたことはない。)

 毛沢東の大躍進政策の時には、4千万人という膨大な餓死者を出した。
 これは、上層部のデタラメ政策に皆が追従したため、
  辛うじて生きていた人々が、大量に餓死したもの。

 1966年から1976年までの文化大革命の時には、大混乱の中で、
 50万人が犠牲になった。

 1989年の天安門事件では、人民解放軍が、
  一般市民を1000人以上殺害した。

     *(日本は戦中戦後の飢餓を克服し、安定した平和な国を作った)  

中国には思想犯・政治犯に対する強制収容所・強制労働がある。(Wiki)
情報統制・言論弾圧の国である。

    *(誰が本当のことを言うだろうか。)

急速に軍備を拡大させ、南シナ海など、他国の領土を脅かす。
他国に工作員を大量に送り込む。あらゆる種類のニセモノをたくさん作る。

こういう政治・社会の環境は、人は正直に話をすることが出来ない、
ということを証明するだけです。

そして左派には、「資料は真贋の検討が必要だ」という観念が、
全くありませんでした。 極めて不審です。

これは、資料や証言が、事実の証拠としては使えない、
という状況を示しています。

例えば「満洲憲兵隊」が検閲した手紙の「月報」について、
中国側は、それらは土の中に8年埋められていた、と説明します。
しかし、土が沁み込んだ様子はありません。
   (『検閲された手紙が語る満洲国の実態』小学館2006 )

これは、ニセ文書とするには恐ろしいほどの、数量2万点です。

中国の正規資料館職員の方が、著者と一緒に、史料現物と共に、
裏表紙の写真に納まっています。問い合わせましたが反論がありません。

この問題についての全体状況を示す「仮説」と、
その他複数の具体的な問題事例は、以下のページを参照してください。
http://tikyuudaigaku.web.fc2.com/171230ritera.html

久武喜久代 62歳 神奈川在 suisyou2006@nifty.com

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